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トロデルビ 海外第III相IMMU-132-05試験(ASCENT)〈海外データ〉臨床1、臨床2)

臨床1)承認時評価資料:社内資料:海外第III相臨床試験(IMMU-132-05試験、ASCENT)
臨床2)Bardia A, et al.: N Engl J Med. 2021; 384(16): 1529-1541.( COI:Immunomedics社[現ギリアド・サイエンシズ社]により実施)

試験概要

目的
(主要目的)
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)であり、2つ以上の化学療法歴のある手術不能又は再発乳癌患者におけるトロデルビの有効性を、脳転移のない患者集団における無増悪生存期間(PFS)を指標として、医師選択単剤化学療法と比較評価する
試験デザイン 第III相、無作為化、非盲検、多施設共同、実薬対照試験
対象 TNBC(ホルモン受容体陰性/HER2陰性)aであり、手術不能又は再発乳癌に対して2つ以上[ただし、手術可能な乳癌に対する周術期治療(術前又は術後薬物療法)終了後12ヵ月以内に疾患進行が認められた場合には、当該周術期治療を化学療法歴の1つとみなすこととされた]の化学療法歴bのある患者529例
[ITT集団:トロデルビ群267例・単剤化学療法群262例、主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団):トロデルビ群235例、単剤化学療法群233例]
主な選択基準:18歳以上、ECOG PS≦1、CT又はMRIで測定可能な病変を有する、脳転移例は安定している場合のみ許容され組み入れ例数は全体の15%を上限とした、TROP-2発現状況の評価は選択基準に含まない
方法 対象をトロデルビ群(1サイクル21日として、トロデルビ10mg/kgをDay1、Day8に点滴静注)又は単剤化学療法群(医師選択によりエリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン又はビノレルビンのいずれかを投与)に1:1の比で無作為に割り付けた[層別因子:進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)、ベースライン時点での脳転移(あり又はなし)]。
疾患進行、許容できない毒性、同意撤回又は死亡のいずれか早い時点まで治療を継続した。
評価項目 【主要評価項目】
無増悪生存期間(PFS)*1〈主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)〉[検証的な解析項目]
【副次評価項目(階層的検定の手順により多重性を調整)】
PFS〈ITT集団〉*1、全生存期間(OS)〈主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)、ITT集団〉[検証的な解析項目]
【その他の副次評価項目】
奏効率(ORR:完全奏効[CR]+部分奏効[PR])*1,2、奏効期間(DOR)*1,2
臨床的有用率(CBR:CR+PR+6ヵ月以上の安定[SD])*1,2〈以上、主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)、ITT集団〉、安全性(有害事象 等)等
【探索的評価項目】
免疫原性

*1:RECIST第1.1版に基づくIRC判定による評価 
*2:RECIST第1.1版に基づく治験責任医師判定による評価

解析計画 有効性の画像評価では、RECIST第1.1版に基づき、CT又はMRI検査画像を用いて腫瘍縮小効果、奏効までの期間(TTR)、DOR及び疾患進行(PD)までの期間を検討した。
階層的検定の手順により全体での第一種の過誤確率を厳格に制御した。最初に、主要評価項目とした脳転移のない患者集団におけるIRC判定によるPFSを解析及び検定し、本主要解析の結果が有意であった場合に主な副次評価項目(脳転移のない患者集団におけるOS、ITT集団におけるIRC判定によるPFS、ITT集団におけるOS)について逐次的に検定を行った。本階層的手順で当該仮説が統計学的に有意とみなされるためには、上位の仮説全てで統計学的有意性が示される必要があった。
主要解析におけるトロデルビ群と単剤化学療法群の比較には、無作為割り付け時と同様の層別因子による層別log-rank検定を用いた。ハザード比及びその95%信頼区間(CI)の推定には、投与群を唯一の共変量とし、無作為割り付け時と同様の層別因子による層別Cox回帰分析を用いた。
PFSはKaplan-Meier曲線を用いて経時的にプロットし、PFS中央値及びその95%CIは二重対数変換によるBrookmeyer-Crowley法により算出した。感度分析も実施した。
OS及びDORの解析には、主要解析と同様の手法を用いた。
ORR及びCBRの解析及び群間比較には、無作為割り付け時と同様の層別因子による層別Cochran-Mantel-Haenszel法を用いた。両側95%CIは、Clopper-Pearson正確法により算出した。
有効性のサブグループ解析として、脳転移のない患者集団及びITT集団におけるPFS、OS及びORRの有効性評価項目について、サブグループ解析[年齢群(65歳未満、65歳以上)、人種(白人、黒人、アジア人)、進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3、4以上)、地域(北米、北米以外)、最初の診断が転移・再発TNBC(あり、なし)、BRCA1・BRCA2 変異(あり、なし)、肝転移(あり、なし)]を実施し、フォレストプロットを作成した。また、進行癌に対する化学療法の前治療数(1つ、2つ以上)別の有効性のサブグループ解析については審査の過程で照会事項に対する回答として了承された。
安全性の解析は、安全性解析対象集団(ITT集団のうち治験薬を少なくとも1回投与された全ての患者)を対象として、データカットオフ日(2021年2月25日)までに得られたデータを評価した。
注目すべき有害事象は、下痢、悪心、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、感染症、貧血、血小板減少症、疲労(無力症含む)及びニューロパチーとした(「」付きは特定の有害事象の一群の総称を示す。詳細な定義についてはこちら)。

PFS:progression-free survival、HER2:human epidermal growth factor receptor 2、IHC:immunohistochemistry、ECOG PS:米国東海岸がん臨床試験グループ パフォーマンスステータス、TROP-2:trophoblast cell surface antigen-2、ER:estrogen receptor、PgR:progesterone receptor、ISH:in situ hybridization、OS: overall survival、ORR:objective response rate、CR:complete response、PR:partial response、DOR:duration of response、CBR:clinical benefit rate、SD:stable disease、RECIST:固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン、IRC:独立判定委員会、TTR:time to response、PD:progressive disease

患者背景[主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)]

トロデルビ群
(n=235)
単剤化学療法群
(n=233)
女性、n(%) 233(99.1) 233(100.0)
年齢(歳) 中央値(範囲) 54(29-82) 53(27-81)
65歳未満、n(%) 191(81.3) 187(80.3)
65歳以上、n(%) 44(18.7) 46(19.7)
地域a、n(%) 北米 149(63.4) 149(63.9)
北米以外 86(36.6) 84(36.1)
人種、n(%) 白人 188(80.0) 181(77.7)
黒人 28(11.9) 28(12.0)
アジア人 9(3.8) 9(3.9)
その他 10(4.3) 15(6.4)
BMI(kg/m2)、中央値(範囲) 26(15-49)b 26(15-48)
スクリーニング時のECOG PS、n(%) 0 108(46.0) 98(42.1)
1 127(54.0) 135(57.9)
ベースライン時の血清ビリルビン値、n(%) 基準値上限以下 224(95.3) 196(84.1)
基準値上限超 4(1.7) 4(1.7)
ベースライン時のクレアチニンクリアランス(mL/min)、中央値(範囲) 100.8(60.2-255.5) 105.0(53.0-253.3)
最初の診断が転移・再発TNBC、n(%) 165(70.2) 157(67.4)
ステージ4診断からの期間(月)、中央値(範囲) 15.8(0.1-202.9) 15.2(-0.4-140.1)
生殖細胞系列の
BRCA1又はBRCA2変異、
n(%)
陰性 133(56.6) 125(53.6)
陽性 16(6.8) 18(7.7)
UGT1A1遺伝子型
(トロデルビ群のみ)、n(%)
野生型(*1/*1 99(42.1)
*28ヘテロ接合型 84(35.7)
*28ホモ接合型 30(12.8)
その他/不明 22(9.4)
ベースライン時の主な転移臓器、n(%) 108(46.0) 97(41.6)
肝臓 98(41.7) 101(43.3)
腋窩リンパ節 57(24.3) 73(31.3)
48(20.4) 55(23.6)

a:無作為化の層別因子
b:n=234


BMI:body mass index、BRCA:breast cancer susceptibility gene、UGT1A1:uridine diphosphate-glucuronosyl transferase 1A1(SN-38の主要代謝酵素)

前治療歴[主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)]

トロデルビ群
(n=235)
単剤化学療法群
(n=233)
進行癌に対する
化学療法の前治療数a、n(%)
2~3 166(70.6) 164(70.4)
4以上 69(29.4) 69(29.6)
全身療法の種類、
n(%)
術後療法 140(59.6) 129(55.4)
術前療法 113(48.1) 111(47.6)
転移 226(96.2) 231(99.1)
局所進行 8(3.4) 4(1.7)
全身療法(術前・術後薬物療法含む)の前治療数、中央値(範囲) 4(2-17) 4(2-14)
主な前化学療法歴、n(%) タキサン系 235(100.0) 233(100.0)
アンスラサイクリン系 191(81.3) 193(82.8)
シクロホスファミド 192(81.7) 192(82.4)
カルボプラチン 147(62.6) 160(68.7)
カペシタビン 147(62.6) 159(68.2)
放射線治療歴(脳転移に対するもの
以外)、n(%)
あり 196(83.4) 185(79.4)
なし 39(16.6) 48(20.6)
抗PD-1/PD-L1抗体治療歴、n(%) あり 67(28.5) 60(25.8)
なし 168(71.5) 173(74.2)

a:無作為化の層別因子


PD-1:programmed cell death-1、PD-L1:programmed cell death-ligand 1

無増悪生存期間(PFS)*1

(1)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)における無増悪生存期間(主要評価項目)

主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)において、無増悪生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で5.6ヵ月(95%CI:4.3, 6.3)、単剤化学療法群で1.7ヵ月(95%CI:1.5, 2.6)であり、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して無増悪生存期間が有意に延長しました[ハザード比(95%CI):0.41(0.32, 0.52)、層別Cox回帰分析](p<0.0001、層別log-rank検定)。(検証的な解析結果)[追跡調査期間の中央値:トロデルビ群11.17ヵ月、単剤化学療法群6.21ヵ月]

無増悪生存期間(Kaplan-Meier)

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=235)
単剤化学療法群
(n=233)
イベント数 166 150
無増悪生存期間中央値
(95%CI)a
5.6ヵ月
(4.3, 6.3)
1.7ヵ月
(1.5, 2.6)
ハザード比(95%CI)
 層別Cox回帰分析b
0.41(0.32, 0.52)
 層別log-rank検定b p<0.0001
 

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)に基づいて層別化


*1:RECIST第1.1版に基づくIRC判定による評価

(2)ITT集団における無増悪生存期間[副次評価項目(階層的検定の手順により多重性を調整)]

ITT集団において、無増悪生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で4.8ヵ月(95%CI:4.1, 5.8)、単剤化学療法群で1.7ヵ月(95%CI:1.5, 2.5)であり、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して無増悪生存期間が有意に延長しました[ハザード比(95%CI):0.43(0.35, 0.54)、層別Cox回帰分析](p<0.0001、層別log-rank検定)。(検証的な解析結果)

無増悪生存期間(Kaplan-Meier)

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=267)
単剤化学療法群
(n=262)
イベント数 190 171
無増悪生存期間中央値
(95%CI)a
4.8ヵ月
(4.1, 5.8)
1.7ヵ月
(1.5, 2.5)
ハザード比(95%CI)
 層別Cox回帰分析b
0.43(0.35, 0.54)
 層別log-rank検定b p<0.0001

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)、ベースライン時点での脳転移(あり又はなし)に基づいて層別化

(3)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)における前治療数別の無増悪生存期間(主要評価項目のサブグループ解析)

主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)において、転移・再発乳癌における前治療数(1つ又は2つ以上)別のサブグループ解析を行いました。その結果、無増悪生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)は、転移・再発乳癌における前治療数が1つであった患者群では、トロデルビ群で5.7ヵ月(95%CI:2.6, 8.1)、単剤化学療法群で1.5ヵ月(95%CI:1.4, 2.6)であり、前治療数が2つ以上であった患者群では、トロデルビ群で5.6ヵ月(95%CI:4.2, 6.9)、単剤化学療法群で2.0ヵ月(95%CI:1.6, 2.7)でした。いずれの患者群においても、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して無増悪生存期間が有意に延長しました[それぞれハザード比(95%CI)、p値:0.40(0.22, 0.75)、p=0.0039;0.41(0.31, 0.52)、p<0.0001 、非層別Cox回帰分析、名目上のp値]。

※:手術可能な乳癌に対する周術期治療(術前又は術後薬物療法)終了後12ヵ月以内に疾患進行が認められた場合には、当該周術期治療を化学療法歴の1つとみなすこととされた

転移・再発乳癌における前治療数別の無増悪生存期間

データカットオフ日(2020年3月11日)

前治療数が1つであった患者群 前治療数が2つ以上であった患者群
トロデルビ群
(n=34)
単剤化学療法群
(n=33)
トロデルビ群
(n=192)
単剤化学療法群
(n=198)
イベント数 21 24 140 124
無増悪生存期間中央値
(95%CI)a
5.7ヵ月
(2.6, 8.1)
1.5ヵ月
(1.4, 2.6)
5.6ヵ月
(4.2, 6.9)
2.0ヵ月
(1.6, 2.7)
ハザード比(95%CI)
 非層別Cox回帰分析
0.40(0.22, 0.75)
p=0.0039b
0.41(0.31, 0.52)
p<0.0001b

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:名目上のp値

5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
5.2 臨床試験に組み入れられた患者における前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1、17.1.2参照]

(4)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)におけるその他サブグループごとの無増悪生存期間(主要評価項目のサブグループ解析)

無増悪生存期間のフォレストプロット(サブグループ別)

データカットオフ日(2020年3月11日)

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:名目上のp値
c:無作為化の層別因子


BRCA:breast cancer susceptibility gene

全生存期間(OS)

(1)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)における全生存期間[副次評価項目(階層的検定の手順により多重性を調整)]

主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)において、全生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で12.1ヵ月(95%CI:10.7, 14.0)、単剤化学療法群で6.7ヵ月(95%CI:5.8, 7.7)であり、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して全生存期間が有意に延長しました[ハザード比(95%CI):0.48(0.38, 0.59)、層別Cox回帰分析](p<0.0001、層別log-rank検定)。(検証的な解析結果)[追跡調査期間の中央値:トロデルビ群11.17ヵ月、単剤化学療法群6.21ヵ月]

全生存期間(Kaplan-Meier)

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=235)
単剤化学療法群
(n=233)
イベント数 155 185
全生存期間中央値
(95%CI)a
12.1ヵ月
(10.7, 14.0)
6.7ヵ月
(5.8, 7.7)
ハザード比(95%CI)
 層別Cox回帰分析b
0.48(0.38, 0.59)
 層別log-rank検定b p<0.0001

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)に基づいて層別化

(2)ITT集団における全生存期間[副次評価項目(階層的検定の手順により多重性を調整)]

ITT集団において、全生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で11.8ヵ月(95%CI:10.5, 13.8)、単剤化学療法群で6.9ヵ月(95%CI:5.9, 7.7)であり、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して全生存期間が有意に延長しました[ハザード比(95%CI):0.51(0.41, 0.62)、層別Cox回帰分析](p<0.0001、層別log-rank検定)。(検証的な解析結果)

全生存期間(Kaplan-Meier)

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=267)
単剤化学療法群
(n=262)
イベント数 179 206
全生存期間中央値
(95%CI)a
11.8ヵ月
(10.5, 13.8)
6.9ヵ月
(5.9, 7.7)
ハザード比(95%CI)
 層別Cox回帰分析b
0.51(0.41, 0.62)
 層別log-rank検定b p<0.0001

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:進行癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)、ベースライン時点での脳転移(あり又はなし)に基づいて層別化

(3)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)における前治療数別の全生存期間(副次評価項目のサブグループ解析)

主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)において、転移・再発乳癌における前治療数(1つ又は2つ以上)別のサブグループ解析を行いました。その結果、全生存期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)は、転移・再発乳癌における前治療数が1つであった患者群では、トロデルビ群で10.5ヵ月(95%CI:6.7, 19.5)、単剤化学療法群で5.0ヵ月(95%CI:3.1, 8.0)であり、前治療数が2つ以上であった患者群では、トロデルビ群で12.2ヵ月(95%CI:10.7, 14.2)、単剤化学療法群で6.9ヵ月(95%CI:5.9, 8.2)でした。いずれの患者群においても、トロデルビ群では単剤化学療法群と比較して全生存期間が有意に延長しました[それぞれハザード比(95%CI)、p値:0.54(0.30, 0.95)、p=0.0332;0.46(0.36, 0.58)、p<0.0001、非層別Cox回帰分析、名目上のp値]。

※:手術可能な乳癌に対する周術期治療(術前又は術後薬物療法)終了後12ヵ月以内に疾患進行が認められた場合には、当該周術期治療を化学療法歴の1つとみなすこととされた

転移・再発乳癌における前治療数別の全生存期間

データカットオフ日(2020年3月11日)

前治療数が1つであった患者群 前治療数が2つ以上であった患者群
トロデルビ群
(n=34)
単剤化学療法群
(n=33)
トロデルビ群
(n=192)
単剤化学療法群
(n=198)
イベント数 23 25 127 159
全生存期間中央値
(95%CI)a
10.5ヵ月
(6.7, 19.5)
5.0ヵ月
(3.1, 8.0)
12.2ヵ月
(10.7, 14.2)
6.9ヵ月
(5.9, 8.2)
ハザード比(95%CI)
 非層別Cox回帰分析
0.54(0.30, 0.95)
p=0.0332b
0.46(0.36, 0.58)
p<0.0001b

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:名目上のp値

5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
5.2 臨床試験に組み入れられた患者における前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1、17.1.2参照]

(4)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)におけるその他サブグループごとの全生存期間(副次評価項目のサブグループ解析)

全生存期間のフォレストプロット(サブグループ別)

データカットオフ日(2020年3月11日)

a:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)
b:名目上のp値
c:無作為化の層別因子

奏効率(ORR)、臨床的有用率(CBR)、奏効期間(DOR)*1

(1)主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)における奏効率、臨床的有用率、奏効期間(その他の副次評価項目)

主要有効性解析対象集団(脳転移のない患者集団)において、奏効率はトロデルビ群で35%(82/235例)、単剤化学療法群で5%(11/233例)でした(p<0.0001、層別Cochran-Mantel-Haenszel法、多重性の調整なし)。臨床的有用率はトロデルビ群で45%(105/235例)、単剤化学療法群で9%(20/233例)でした。また、奏効例における奏効期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で6.3ヵ月(95%CI:5.5, 9.0)、単剤化学療法群で3.6ヵ月(95%CI:2.8, 推定不能)でした。[追跡調査期間の中央値:トロデルビ群11.17ヵ月、単剤化学療法群6.21ヵ月]

奏効率(完全奏効+部分奏効)、臨床的有用率(完全奏効+部分奏効+6ヵ月以上の安定)、奏効期間

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=235)
単剤化学療法群
(n=233)
ORR
(CR+PR)*1
n(%) 82(35) 11(5)
CBR[CR+PR+SD(≧6ヵ月)]*1 n(%) 105(45) 20(9)
 CR n(%) 10(4) 2(1)
 PR n(%) 72(31) 9(4)
 SD(≧6ヵ月) n(%) 23(10) 9(4)
 PD n(%) 54(23) 89(38)
奏効例におけるDOR*1 中央値
(95%CI)b
6.3ヵ月
(5.5, 9.0)
3.6ヵ月
(2.8, 推定不能)

a:層別Cochran-Mantel-Haenszel法[進⾏癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)に基づいて層別化]、多重性の調整なし
b:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)


*1:RECIST第1.1版に基づくIRC判定による評価
CR:complete response、PR:partial response、SD:stable disease、PD:progressive disease

(2)ITT集団における奏効率、臨床的有用率、奏効期間(その他の副次評価項目)

ITT集団において、奏効率はトロデルビ群で31%(83/267例)、単剤化学療法群で4%(11/262例)でした(p<0.0001、層別Cochran-Mantel-Haenszel法、多重性の調整なし)。臨床的有用率はトロデルビ群で40%(108/267例)、単剤化学療法群で8%(21/262例)でした。また、奏効例における奏効期間中央値(Kaplan-Meier推定値、Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)はトロデルビ群で6.3ヵ月(95%CI:5.5, 9.0)、単剤化学療法群で3.6ヵ月(95%CI:2.8, 推定不能)でした。

奏効率(完全奏効+部分奏効)、臨床的有用率(完全奏効+部分奏効+6ヵ月以上安定)、奏効期間

データカットオフ日(2020年3月11日)

トロデルビ群
(n=267)
単剤化学療法群
(n=262)
ORR
(CR+PR)*1
n(%) 83(31) 11(4)
CBR[CR+PR+SD(≧6ヵ月)]*1 n(%) 108(40) 21(8)
 CR n(%) 10(4) 2(1)
 PR n(%) 73(27) 9(3)
 SD(≧6ヵ月) n(%) 25(9) 10(4)
 PD n(%) 65(24) 100(38)
奏効例におけるDOR*1 中央値
(95%CI)b
6.3ヵ月
(5.5, 9.0)
3.6ヵ月
(2.8, 推定不能)

a:層別Cochran-Mantel-Haenszel法[進⾏癌に対する化学療法の前治療数(2~3又は4以上)、地域(北米又は北米以外)、ベースライン時点での脳転移(あり又はなし)に基づいて層別化]、多重性の調整なし
b:Kaplan-Meier推定値(Brookmeyer-Crowley法に基づく95%CI)

安全性

(1)副作用及び有害事象a(その他の副次評価項目、安全性解析対象集団)

安全性解析対象集団における副作用発現割合はトロデルビ群258例中97.7%(252例)、単剤化学療法群224例中85.7%(192例)であり、有害事象発現割合はトロデルビ群99.6%(257例)、単剤化学療法群97.8%(219例)でした。主な副作用、有害事象は、下記のとおりでした。
重篤な有害事象はトロデルビ群で26.7%(69例)、単剤化学療法群で28.6%(64例)に認められました。主な重篤な有害事象(発現割合2%以上)は、トロデルビ群で発熱性好中球減少症13例、下痢9例、好中球減少症b及び肺炎各7例であり、単剤化学療法群で呼吸困難7例、胸水6例及び発熱5例でした。
死亡に至った有害事象はトロデルビ群で0.4%(1例)(呼吸不全)、単剤化学療法群で1.3%(3例)(全身健康状態低下、敗血症及び好中球減少性敗血症)に認められ、うち単剤化学療法群の1例(好中球減少性敗血症)は治験薬と因果関係ありと判断されました。
投与中止に至った有害事象は、トロデルビ群で4.7%(12例)、単剤化学療法群で5.4%(12例)に認められ、うち2例以上に認められた事象は、トロデルビ群で疲労及び肺炎(各2例)、単剤化学療法群で好中球減少症b、呼吸困難及びリンパ節痛(各2例)でした。

主な副作用一覧(トロデルビ群の全Gradeの発現割合が10%以上)

データカットオフ日(2021年2月25日)

トロデルビ群(n=258)
n(%)
単剤化学療法群(n=224)
n(%)
全Grade Grade 3以上 全Grade Grade 3以上
全副作用 252(97.7) 167(64.7) 192(85.7) 105(46.9)
 好中球減少症b 163(63.2) 133(51.6)   96(42.9) 74(33.0)
 下痢 153(59.3) 28(10.9)   27(12.1) 1(0.4)
 悪心 147(57.0) 7(2.7)   59(26.3) 1(0.4)
 脱毛症 119(46.1) 0(0.0)   35(15.6) 0(0.0)
 疲労 115(44.6) 8(3.1)   68(30.4) 12(5.4)
 貧血c   90(34.9) 20(7.8)   54(24.1) 11(4.9)
 嘔吐   76(29.5) 4(1.6)   23(10.3) 1(0.4)
 食欲減退   51(19.8) 4(1.6)   32(14.3) 1(0.4)
 便秘   45(17.4) 0(0.0)   32(14.3) 0(0.0)
 白血球減少症d   41(15.9) 26(10.1)   25(11.2) 12(5.4)
 無力症   31(12.0) 2(0.8)   23(10.3) 3(1.3)
 腹痛   30(11.6) 3(1.2)     9(4.0) 1(0.4)

MedDRA version 25.0
GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じた

a:有害事象は、治験薬初回投与日から治験薬最終投与後30日までの期間に発現又は悪化した全ての有害事象と定義
b:好中球数減少を含む
c:ヘモグロビン減少及び赤血球数減少を含む
d:白血球数減少を含む

(2)注目すべき有害事象a(その他の副次評価項目、安全性解析対象集団)

SN-38(トロデルビの細胞傷害性ペイロード)、対照薬として使用された単剤化学療法、並びに局所進行又は転移・再発乳癌の治療薬として承認されているその他の抗体薬物複合体(ADC)との関連が知られている毒性について、注目すべき有害事象として解析しました。注目すべき有害事象の発現例数(発現割合)は下記のとおりでした。

注目すべき有害事象a一覧

間質性肺疾患は事前規定されていない事後解析の項目ですが、安全性関連の重要情報であるため紹介しています。

データカットオフ日(2021年2月25日)

注目すべき
有害事象
トロデルビ群
(n=258)
単剤化学療法群
(n=224)
全Grade Grade3
以上

n(%)
全Grade Grade3
以上

n(%)
n(%) 初回発現までの期間
(中央値)
n(%) 初回発現までの期間
(中央値)
下痢 168(65.1) 12日 30(11.6) 38(17.0) 14日 2(0.9)
好中球減少症 168(65.1) 16日 139(53.9) 99(44.2) 11日 80(35.7)
発熱性好中球減少症 15(5.8) 14日 15(5.8) 6(2.7) 34日 6(2.7)
感染症 139(53.9) 58日 25(9.7) 81(36.2) 29日 19(8.5)
ニューロパ
チー
37(14.3) 49日 0(0.0) 49(21.9) 30日 6(2.7)
過敏症 88(34.1) 39日 3(1.2) 49(21.9) 22日 3(1.3)
間質性肺疾患 2(0.8) 152日 1(0.4) 1(0.4) 27日 0(0.0)

MedDRA version 25.0
GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じた

a:有害事象は、治験薬初回投与日から治験薬最終投与後30日までの期間に発現又は悪化した全ての有害事象と定義
※:Grade 3の肺臓炎及びGrade 1の肺浸潤 

注目すべき有害事象の定義
SN-38(トロデルビの細胞傷害性ペイロード)、対照薬として使用された単剤化学療法、並びに局所進行又は転移・再発乳癌の治療薬として承認されているその他のADCとの関連が知られている毒性。「」は特定の有害事象用語の一群から構成される。
事象名[定義(MedDRA version 25.0)]:下痢[基本語:下痢]、好中球減少症[基本語:好中球減少症、好中球数減少、発熱性好中球減少症]、発熱性好中球減少症[基本語:発熱性好中球減少症]、感染症[器官別大分類:感染症及び寄生虫症]、ニューロパチー[基本語:歩行障害、感覚鈍麻、筋力低下、末梢性ニューロパチー、錯感覚、末梢性感覚ニューロパチー]、過敏症[MedDRA標準検索式(狭域及び広域)の過敏症及びアナフィラキシー反応(治験薬投与日又はその翌日の事象のみ)]、間質性肺疾患[MedDRA標準検索式(狭域)の間質性肺疾患]

(3)投与量減量、投与一時中断、投与中止について(その他の副次評価項目、安全性解析対象集団)

トロデルビの相対用量強度(中央値)は99.65%でした。有害事象による投与量減量、投与一時中断、投与中止の割合及び有害事象の内訳は下記のとおりでした。

Grade 3以上の全有害事象a、相対用量強度、投与量減量、投与一時中断、投与中止

データカットオフ日(2021年2月25日)

トロデルビ群
(n=258)
単剤化学療法群
(n=224)
Grade 3以上の全有害事象a、n(%) 188(72.9) 145(64.7)
相対用量強度、中央値 99.65%
投与量減量 有害事象aによる投与量減量、n(%) 57(22.1) 59(26.3)
トロデルビ群で
1%以上に認められた
投与量減量に至った
有害事象a、n(%)
好中球減少症b 23(8.9) 43(19.2)
下痢 13(5.0) 1(0.4)
発熱性好中球減少症 7(2.7) 0(0.0)
悪心 5(1.9) 0(0.0)
疲労 5(1.9) 6(2.7)
無力症 5(1.9) 3(1.3)
貧血c 3(1.2) 1(0.4)
最初の投与量減量までの期間、中央値(範囲)
(日)
52(15-570) 22(7-133)
投与量減量の回数、
n(%)
1回 52(20.2) 35(15.6)
2回 14(5.4) 15(6.7)
3回 0(0.0) 5(2.2)
4回以上 3(1.2) 1(0.4)
投与一時中断 有害事象aによる投与一時中断、n(%) 162(62.8) 87(38.8)
トロデルビ群で
1%以上に認められた
投与一時中断に至った
有害事象a、n(%)
好中球減少症b 120(46.5) 47(21.0)
下痢 14(5.4) 1(0.4)
白血球減少症d 13(5.0) 4(1.8)
貧血c 11(4.3) 6(2.7)
発熱 8(3.1) 3(1.3)
悪心 5(1.9) 0(0.0)
上気道感染 5(1.9) 2(0.9)
発熱性好中球減少症 4(1.6) 1(0.4)
肺炎 4(1.6) 4(1.8)
呼吸困難 4(1.6) 1(0.4)
血小板減少症e 3(1.2) 6(2.7)
嘔吐 3(1.2) 0(0.0)
疲労 3(1.2) 4(1.8)
無力症 3(1.2) 2(0.9)
投与中止 有害事象aによる投与中止、n(%) 12(4.7) 12(5.4)
トロデルビ群で
2例以上に認められた
投与中止に至った
有害事象a、n(%)
疲労 2(0.8) 1(0.4)
肺炎 2(0.8) 1(0.4)

MedDRA version 25.0
GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じた

※:累積投与量(mg/kg)/標準の総投与量(mg/kg)により算出
a:有害事象は、治験薬初回投与日から治験薬最終投与後30日までの期間に発現又は悪化した全ての有害事象と定義
b:好中球数減少を含む
c:ヘモグロビン減少及び赤血球数減少を含む
d:白血球数減少を含む
e:血小板数減少を含む

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