悪性腫瘍
がん患者がCOVID-19に罹患した際の報告は多く、システマティックレビューが多く発表されています。
26研究181,323例の患者を対象としたメタアナリシスにはCOVID-19に罹患したがん患者23,736例が含まれており、死亡オッズ比は2.54(95%信頼区間:1.47-4.42)でした1)。(海外データ)
がん種による死亡率の検討では、血液腫瘍がオッズ比2.39 (95%信頼区間:1.17-4.87)と最も高く、その次は肺がんの1.83 (95%信頼区間:1.00-3.37)でした1)。(海外データ)
がん種別COVID-19罹患患者の死亡率(入院中における全死亡)
1)Venkatesulu BP et al. JNCI Cancer Spectr. 2021 Feb 24;5(2):pkaa102. doi: 10.1093/jncics/pkaa102. より作図
13研究3,775例による検討では63例ががん患者であり、COVID-19によるICU入院率はがん患者40%に対し、非がん患者8.42%であり、がん患者のICU入院オッズ比は2.88 (95%信頼区間:1.18-7.01,p=0.026, カイ二乗検定)でした2) 。(海外データ)
がん患者におけるICU入院のオッズ比
2)Salunke AA et al. Diabetes Metab Syndr. 2020 Sep-Oct;14(5):1431-1437. doi: 10.1016/j.dsx.2020.07.037. より作図
また、COVID-19による死亡率はがん患者20.83%に対し、非がん患者7.82%であり、がん患者の死亡オッズ比は2.25 (95%信頼区間: 0.71-7.10)でした2)。(海外データ)
COVIREGI-JP研究における重症化リスクの検討では、固形癌を有する患者は、入院時に非重症であっても酸素投与や人工呼吸/ECMO管理を要した割合は27.3%でした3)。
入院時に非重症であった固形癌を有する患者の経過
3)Terada M et al. BMJ Open. 2021 Jun 15;11(6):e047007. doi: 10.1136/bmjopen-2020-047007.より作図
また、入院時重症患者における死亡率も30.4%と基礎疾患のない場合の8.0%と比べて高くなりました3)。
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について(医療従事者向け)Q&A -改訂第3版-』 日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)では、COVID-19に罹患したがん患者では死亡率が高いこと、また、人工呼吸器使用や集中治療室利用など増悪イベントの割合は非がん患者と比べて、がんサバイバーとがん患者のいずれにおいても高いことが記載されています4)。
1)Venkatesulu BP et al. JNCI Cancer Spectr. 2021 Feb 24;5(2):pkaa102. doi: 10.1093/jncics/pkaa102.
2)Salunke AA et al. Diabetes Metab Syndr. 2020 Sep-Oct;14(5):1431-1437. doi: 10.1016/j.dsx.2020.07.037.
3)Terada M et al. BMJ Open. 2021 Jun 15;11(6):e047007. doi: 10.1136/bmjopen-2020-047007.
4)日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成):新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について:医療従事者向けQ&A -改訂第3版-,